『MANDARA10入門』を参照してGISの多様性について考えてみる
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『MANDARA10入門』を参照してGISの多様性について考えてみる
MANDARAと、その他のGISソフトウェア(ここでは筆者にArcGISの操作経験がないのでQGISに絞る)は異なるものだ。何がどのように異なるのか、なるべく両者のよいところを示せるように記していきたい。この記述のもとになるGISの用途は、本サイトの初回投稿から一貫している主題図を作成することだ。空間分析をGISの主だった用途とする場合には見方がちがってくるのだろう。
『MANDARA10入門』を開いて注目するのは、「はじめに」のなかへ書かれたMANDARAの特徴だ。初版第1刷で2018年2月に谷謙二先生が書かれているMANDARAの特徴をそのまま引用させていただきたい。ここには、おおきく2種類に分かれる特徴が書いてある。ひとつは、MANDARAで「できること」、もうひとつは、使用するGISの選択がMANDARAであれば「不要になること」だ。
これはQGISにもいえて、ほかにもそういったソフトウェアはあるだろう。(相応の価格が設定されているGISソフトウェアがある中では、画期的なことだ)
- Excel上のデータを簡単に取り込める
- 塗りつぶしだけでなく、記号表現や等値線等、多様な表現方法で地図化できる
- 地図データを作成・編集できる
Excelから取り込んで、多様な表現で地図化し、その地図データが編集できる。誰でも使えるエクセルと、フリーソフトのGISであるMANDARAがあれば、多くのひとがExcelのデータを地図にすることができる。これはまさに主題図を作成するためのソフトウェアであるといえるだろう。
この2点は、難しい用語の学習と、基本となる地図データ(具体的には背景図となる地図)の用意が、MANDARAでは不要だといえる。
MANDARAを開くと、地図を描画するための設定になる各種のモードを選ぶ画面が表示される。地図を表示するための画面(QGISでいう「地図ビュー」)が開かないのではじめは戸惑った。
QGISを利用しながら、いま、何をするためにGISを操作しているのかを、よくよく考えてみれば、このMANDARAを操作したときの戸惑いは無くなる。Excelにすでに地図化したいデータがあって(主題データがあって)、背景図はMANDARAに用意されているものから選んで、描画すれば主題図ができあがる。MANDARAは最短で主題図を作成できるソフトウェアといえるだろう。
ここまで書いてみると、ではなぜ筆者はQGISの操作結果を記しているのか?という疑問が生じてくる。この疑問は、GISでできること、やりたいことの多さに起因しており、なにをしたいのか絞り込むと、MANDARAの画面構成にもなり得るのだと考えている。GISでやりたいことを自由にやれるまでには、まだ随分と道程が長そうだ。QGISの利用を続けながら、欲をかいてMANDARAも自由に扱えるようにしたい。