主題ポイントデータと背景図で主題図作成を試してみる (4)ある種の拠点の立地条件を表した主題図
(1)から(3)まで記して、QGISにて座標参照系はどのように設定すればいいのか明確にならないという問題があった。そして、座標系については、まとめて書いておいた方がよさそうだと分かっている。この座標系のページは後日つくることになるだろう。
主題ポイントデータと背景図で主題図作成を試してみる
(4)ある種の拠点の立地条件を表した主題図
ここまで、主題図という用語を一貫して使用してきたが、GIS(地理情報システム)の関連書籍で一般図と主題図について述べているものはまれだ。GISについての記述を含むものを1冊だけ紹介して、主題図作成についての専門書を1冊記載する。
浦川豪(2015)『GISを使った主題図作成講座―地域情報をまとめる・伝える―』がある。本書は、GISというものについてや、その操作方法などを詳しく説明したものではない。本のタイトルどおりGISでの主題図作成を紹介しており、主題図と主題図になりきっていない地図についての説明がある。そして、この本が参考文献にしている、浮田典良(2004)『地図表現ガイドブック―主題図作成の原理と応用―』も紹介したい。地図または地理学を学んだことがなくて、GISをひとりで学ぶ際に、地図作成についての理解を深める参考書となるものだ。
①縮尺が小さすぎて主題を不明にする場合
レイヤパネルは淡色地図以外の4種類の背景図を表示し、拠点を示すポイントデータが重ね合わせされていることを示している。地図の縮尺の小ささに対してポイントが大きすぎて、地理的な特徴を示す背景図が隠れてしまっている。
②拡大表示で200%にした地図(ポイントが大きくなった)
①でレイヤパネルを示していたところから、レイヤ順序パネルを示すように変更した。山地・平地の起伏は少し分かるようになったが、人口集中地区は、まだポイントに隠れてしまっている。QGISでの地図表示は、地図を拡大するのではなく、縮尺を変更して適切な表示をする必要がある。
③縮尺を100万分の1にした地図
平地と人口集中地区と拠点のポイントに相関がある様子が地図から読みとれる。
④縮尺を50万分の1にした地図
もう少し縮尺が大きければ、山地・平地の起伏が分かりそうだ。透過率を50%に設定した白地図の都道府県の境界線が、各県の境界を識別するために役立っている。
⑤縮尺を25万分の1にした地図(白地図の透過率を変更)
白地図の市区町村名をはっきり表示するために、白地図の透過率を徐々に下げて10%にした。白地図のプロパティを開くたびに、何度も(応答なし)となった。
⑥縮尺25万分の1で白地図を非表示にして陰影起伏図が鮮明になった地図
ひとつ前の⑤の地図で、白地図による都道府県の境界や市区町村名や境界が必要か疑問に思ったため、白地図を非表示にして、なにか新たな主題が見つかるか試してみた。
⑦縮尺25万分の1で白地図非表示、陰影起伏図を透過率35%に設定した地図
陰影起伏図のプロパティ「透過性」の設定変更は、白地図と比較して容易に設定することができた。(応答なし)にならずにQGISが動作した。
詳しく文章にすることはできないが、なぜ各拠点がその場所に立地しているのか、山地・平地の陰影による起伏と、鉄道と幹線道路による交通の概要がわかって納得感が高まった。
このように、適宜変更しながら分析に適した縮尺を探してみると、そう大きくはない日本列島であっても、いっぺんに見てわかる範囲は限られた。
地図を移動できる専用のツールがQGISには用意されているが、移動のたびにすべてのレイヤを読み込みなおすため、スムーズな動作とは言い難い。そして、無目的に地図を移動してみたところで、何かがわかるものでもないだろう。