基盤地図情報ダウンロードサービスから取得したDEMのXMLファイル(JPGIS方式のGML)を分割・整理する
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GeoTiffへの変換前に、正しくGMLファイルを分割・整理しなかったために起きた失敗事例を紹介する。自分でDEMを取得してGeoTiffへ変換する予定がなければ、3.の東京都を東から西へ眺めた3Dマップや、4.の昭和記念公園の起伏を3Dで見て一般図にて確かめた事例を見てもらえれば、少しおもしろいだろうと思う。
1.正しく分割しなかった事例
(1)離島を含めた長方形エリア内の本州部分が含まれていなかった場合
伊豆半島の一部と、相模湾沿岸の部分が欠けて、真っ黒になってしまっている。伊豆半島に不自然な直線が描かれ、その線よりも右側がすべて黒い格子で埋められている。
(2)長方形となる範囲から飛び出した部分のDEMを変換してしまった場合
左側と上側に、それぞれ真っ黒な格子で埋められた部分ができてしまった。
2.失敗を防ぐために行った格子地図上での整理の例
(1)離島を含む場合は、離島を含めて長方形になるようにする
格子を示す6桁番号が 523900 から 523977 までと、コピーするときにわかり易い事例となった。
(2)東京の必要な範囲を含めた長方形となるように地図から選択した
DEMが存在しない海洋部分は、6桁番号の用意がなく、格子を選択できないようになっている。6桁番号は 533900 から 533957 までの47個。東京都の全範囲をカバーするDEMをダウンロードするためには、533807 から 533867までの縦の1列と、533960 から 533967 までの横の1列をダウンロード対象として選ぶことにより、選択範囲が長方形で、かつ、東京都全域をカバーしたDEMが得られ、GeoTiffへ変換したときに真っ黒になる格子が無くて済む。
3.神奈川・東京・埼玉の範囲を長方形エリアで分割して、GeoTiffを生成しQGISにてラスタレイヤの追加を行った場合
(1)DEMを含む範囲の陰影起伏図と透過率設定をした白地図の重ね合わせ
(3)同じ範囲のDEM(ツールにて変換後に結合したGeoTiffの境目が見える)
(4)同じ範囲を Qgis2threejs で3Dマップに描画して東京の東から西を見る
DEM(数値標高モデル)を利用した地図の表示・作成でおもしろいところは、縮尺を変えることにより、遠景で広範囲について考えることも、近景にて狭い範囲をとらえることも可能なことだろう。次のように一例を示す。
4.狭い範囲のDEMによるGeoTiffへ陰影起伏図を重ねて3Dマップを見る
先に説明すると、次の地図画像は、5000分の1というQGISで地図を操作する場合には、かなり大きな縮尺による地図だ。このような範囲のDEMから生成したGeoTiffは真っ黒であり、同じ範囲の陰影起伏図を重ねないと何の意味もない。3Dマップにしてみると陥没の描画が見られるが、これの理由はわかっていない。無作為に選んだ東京都立川市の昭和記念公園内にある起伏を地図化した。
(1)縮尺5000分の1で昭和記念公園内の起伏を示した陰影起伏図
公園内の起伏と説明されているから小高い丘があるのだろうとわかるが、これだけを見てこれがいったい何なのか識別できるのは、よほど地図を見慣れた専門家なのだろう。
(2)同範囲を Qgis2Threejs 3Dマップに変換した
起伏の手前と小高い起伏の奥まったところに陥没した部分がある。DEMのデータが欠損しているのだろうか。(そうではないことが、重ね合わせでわかった)
3Dマップの角度を変えて、近景を眺めてみる。
いくつか公園整備にて造営されたのではないかと思われる地形が目につく。
(3)標準地図の淡色地図による同範囲
同範囲に淡色地図を重ねてみることにより、いくつかの疑問が解決して面白かった。
3Dマップで陥没して描画された部分は、淡色地図によると池があるようだ。陰影起伏図や3Dマップで、いままで道路だと思っていた滑らかな曲線から始まる直線は、どうも川であるようだということがわかった。これまでに見てきた富士山の3Dマップや起伏図を、淡色地図のような一般図も重ねて見直さないと、勘違いがありそうだ。(富士山のDEMによる不自然な陥没の理由は、見直してもわからなかった)
(4)10000分の1にて淡色地図を重ねた3Dマップ
陰影起伏図ではなく、淡色地図を重ねて3Dマップを生成してみた。これもおもしろい。淡色地図にて水色で着色された池の部分が陥没したように描かれた。
昭和記念公園内と近隣にあった池が3Dマップで陥没して描画されている。実際に西立川駅へ行き、池を眺めながら昭和記念公園へ向かうという楽しみができてしまった。何かを分析して明らかにしようというGISの利用目的と接点があるかわからないが、地図を重ねてみることで何かがわかるというGISの強みに実感がもてそうだ。