DEM(数値標高モデル)による富士山の陥没を直してみる(直せず等高線を試した)
このページに進出のキーワードはない。いきなりこのページから参照した場合のために、DEM(数値標高モデル)についてのリンクをふたつ紹介する。
Googleで「数値標高モデル」と検索したときに表示される画像はこちら。
DEM(数値標高モデル)|国土地理院(http://www.gsi.go.jp/KIDS/KIDS16.html)
基盤地図情報ダウンロードサービスからダウンロードしたDEMを紹介済みのツールを使用して生成したGeoTiffがこれから示す陥没した状態の富士山。
基盤地図情報数値標高モデルについて|基盤地図情報ダウンロードサービス
(https://fgd.gsi.go.jp/download/ref_dem.html)
(はじめにーー表題の未達成についてーー)
2018年12月14日現在、この方法で直るのだろうと始めた作業の結果、まだ直っていない。「欠損値の補間」という機能はあるが、使用方法がわからないという状況。
1.陥没した現在の富士山の様子
画像を示した地図では、東京を主要エリアとして扱う地図を作成しているため、富士山は西の端となっていて、西側が途中で切れている。DEMでは黒が値「0(ゼロ)」を示す。白く明るいほど標高がたかい。
よく見ると、富士山の黒い部分以外にも、不自然な黒い部分があるとわかる。
2.おなじ場所で淡色地図を重ねた場合
富士山にはDEMにて黒くなっているような陥没が無いことを、淡色地図の等高線で確かめることができる。
河口湖と芦ノ湖はDEM上で黒くなっていることが正しいようだ。(以前のページで池、湖のDEMが黒くなることを発見)山中湖は広範囲が黒くなってしまっているため、現在のDEMでは判別できない。
3.『QGIS入門【第2版】』の第2部 QGISのデータ解析ツールとプラグイン より
157頁からの「解析サブメニュー」の項に、次のような機能の説明がある。
- ふるい
- 黒補正
- 欠損値の補間
機能の詳細は書籍を参照することとして、実際にやってみたい。これらの機能は、ラスタ(R)ー解析►「ふるい」「黒補正」「欠損値の補間」とある。
筆者がやってしまった反省によるメモだが、あまり大きなGeoTiffを対象として実行してはいけない機能であるようだ。少し考えれば、確かにそうかもしれないと思う。
4.ふるいツール
このツールを実行する前と実行した後の変化は、画面上ではわからなかった。
5.黒補正
ふるいツールの実行結果が不明であったことから、メニューの並びの順番にテスト実行するという選択肢もあるのだが、このツールの「本来ならばデータなしの 0(黒)となるべきところに、0でない値が混ざり込んでしまった部分を、0に戻す」という機能が怖かったため、この機能の実行は飛ばして、次の欠損値の補間へすすむ。
6.欠損値の補間
欠損値の補間メニューを起動すると、各種設定があるが、初回のテストとしては「終了時にキャンバスにロードします(L)」のみへチェックが入った状態で、入力レイヤと出力ファイルのみ設定して実行した。
参照した書籍には「内挿方法にIDW(inverse distance weighting)が使われる」という説明があったが、これの意味するところはわかっていない。これの実行結果も変化が無く、メニューの画面でチェックを入れて設定しなければならなかったのだろうか。チェックを入れて、初期条件にて実行してみる。
結果、何も変わらなかった。そんなはずはないだろうと思うが、今日のところはここまでにする。
7.等高線
『QGIS入門【第2版】』の156頁、このページで扱っている、ラスタ(R)メニューの解析サブメニューと同じ見開きに、「等高線」という興味を引かれる機能の紹介があったため、これを実行してみた。また懲りずに大きなGeoTiffファイルを選んで実行してしまったので、今度は1時間たっても終了しないという状況になった。
この機能を実行する際には、レイヤパネルにあるラスタレイヤのGeoTiffファイルの選択【入力ファイル(ラスタ)(I)】と、【等高線(ベクタ)を出力するファイル名(O)】を設定する必要がある。ベクタはシェイプファイルで生成されるため、ディレクトリのパスではなく、ファイル名だけ書けば実行可能。その場合に生成される先は次のとおり。シェイプファイルなので、ファイル名というか同名のフォルダが作られて、その下にシェイプファイルを構成する4ファイルが生成される。
C:\Program Files\QGIS 2.18\bin\merge7-6_contour
長時間(2時間半ぐらい)かかって生成されたシェープファイルは、2.5GBほどもあるファイルになった。このファイル生成を完了させるQGISに驚くとともに、こんなファイル生成を実行したユーザーに問題があると思っている。このシェープファイルの表示は、当然ながらスムーズとは言い難い。
画像のおもしろさはあるので50万分の1のDEMの上に重ね合わせた等高線を示す。50万分の1という小さな縮尺では、等高線の本数が多すぎて下の地図が塗りつぶされてしまう。
縮尺を大きくして、起伏のある伊豆半島を大きくしてみよう。
縮尺を10万分の1まで大きくしてみると、少し等高線が見え始める。逆に、もとのDEMに欠損値があると思われる部分が気になるようになる。
縮尺を5万分の1にした。だいぶ、等高線らしくなってくる。等高線を地図で見るには、2万5千分の1よりも大きいぐらいの縮尺が必要なようだ。
縮尺を2万5千分の1にする。淡色地図を重ねてみたところ、ここが偶然にも修善寺温泉のあたりだったと分かった。主題図の作成について読んでいると、「主題図に適した縮尺を定める」という手順が出てくる。このように縮尺を変えていくと、主題に対して適した縮尺と無意味な縮尺があることは体感としてわかる。
縮尺は2万5千分の1のままで、淡色地図に等高線を重ね合わせた地図を示す。淡色地図にはもともと等高線が描かれているが、DEMから生成したGeoTiffを処理して得られる等高線はだいぶ細かいということがわかった。
縮尺を1万分の1にすると、淡色地図上の等高線とのずれが、かなり明確になった。このずれは、等高線のシェープファイルのCRS(座標参照系)を、淡色地図の座標系に合わせたら、ずれなくなるといったようなものではなかった。
縮尺は1万分の1のままで、陰影起伏図との重ね合わせに戻してみる。重ね合わせる地図が異なれば、地図から別のことに気付ける。(ような気がする)
1万分の1になると陰影起伏図では、ぼやけてくる地形の詳細が、等高線で明瞭にわかるような気がするが、どうだろうか。
GeoTiffの画像が黒いので、等高線だけ重ねるとはっきり見える。これが地図だとわからずに見ても、専門家は地図に見えるのだろう。ほかのものにも見える。